誰ひとり取りこぼさない | 『うんこ』森山直太朗

僕は言葉をなくした。「うんこ・・・?」

「えっ?」

もう一度、題名を見返す。「森山直太朗・・・うんこ」

なんだこれは・・・。

そして曲を聴いてみる。

さっきまで体の中にいたのに

出てきた途端

いきなり嫌われるなんて

やっぱりお前はうんこだな

引用:森山直太朗『うんこ』

「えっ?」

なんだこれは・・・。

※所要時間1分20秒

目次
  1. 題名を「うんこ」にする勇気
  2. 「うんこ」とは何を指すのか
  3. やさしいうんこ



題名を「うんこ」にする勇気

題名が『うんこ』。みなさんはそんな曲に出会ったことがありますか?

僕は曲がりなりにも音楽を作る。だから思うのだけど、自分の曲名を『うんこ』にする勇気はない。絶対にいやだ。

曲を作るのは大変だ。歌ものなら、詩を考え、メロディーを考え、アレンジを考え、録音して編集して・・・、それはそれは膨大な時間をついやす。

そうして、汗を流し、血ヘドを吐きながらやっとの思いで出来た作品。さあ、名前をつけよう。

曲名は『うんこ』だ!

絶対にいやだ。

・・・と、散々な言いようだが、なぜこの曲を取り上げたのか。

不覚にも、涙が出るほど感動したからだ。

「うんこ」とは何を指すのか

クソ真面目に考えた。「うんこ」とは何かの例えではないかと。

体の中にいて、外に出てくるもの。すぐに思いつくのは「赤ちゃん」だ。生まれたばかりの赤ちゃんがお母さんに嫌われる・・・。

うーむ、救いがない。僕には虐待がテーマだとは思えない。

この曲は歌い終えてからが長い。うんこに似つかわしくない壮大なストリングスが入ってくる。その旋律が何ともやさしいのだ。

森山直太朗さんの歌声が、柔らかい弦の旋律に乗ってこだまするような感覚。

心のひだにこびりついた汚いものが洗い流される感じ。浄化されていく。ちょっとツーンとするけど。

また、森山直太朗さんはうんこのことを「お前」と呼んでいる。そこに憎しみは感じられない。むしろ、友達に話しかけるような温かさがある。

いわゆる、「うんこ」とは自分の中にある最も見たくないもの。醜い自分自身。

だから、外に出てこれば当然嫌われる。それは醜い自分を見せられるということなのだから。

やさしいうんこ

でも、うんこは多分こう言うのだろう。

「あんたはずっと俺のことで腹を痛めてきた。だからこうして出てきてやったぜ。思う存分、俺を嫌えばいいさ。でもな、そんなに悪くないぜ。あんたのうんこであることも。」

うんこは知っている。自分が愛されないことを。それでもうんことして生きていく。どんなに自分に嫌われようとも。

その存在の前に、取りこぼされる人間がいるだろうか。なんて短く、なんて包容力のある音楽だろうか。

・・・というのは深読みでしょうか。

わからない。

でも大好きだ。

作品名『うんこ』
作詞森山直太朗,御徒町凧
作曲森山直太朗,御徒町凧
収録アルバム『大傑作撰』(2016年,ユニバーサルミュージック)
『レア・トラックス vol.1』(2010年,ユニバーサルミュージック)



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